著者
太田 雄大 鈴木 敦夫
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.328-333, 2006-06-01
参考文献数
6

サッカーのペナルティキック(PK)の最適戦略をゲーム理論の基礎的な手法を用いて求める.キッカーとゴールキーパーの利得行列をPKが成功する確率として,混合戦略とゲームの値を線形計画法を用いて計算する.利得行列の計算には,Jリーグ,日本代表の試合中のPKのデータと,ワールドカップなどの試合でのPK戦のデータを用いた.混合戦略は,キッカーは,試合中のPKでは,ゴールの右下方,左下方(キッカーが右利きの場合),PK戦では,それに加えて,ゴール中央を加えたコースをある確率で狙うこととなった.
著者
相澤 彰子
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.706-712, 2007-11-01
参考文献数
10
被引用文献数
1

情報を伝達するための文字の並びを「テキスト」と呼ぶ.テキスト中に出現するさまざまな構成要素は,その出現位置によって他の要素と関係づけられている.この要素どうしの関係が織りなす空間はどのようなものになるだろうか?言語処理の分野では,このような空間は「意味」と密接な関係があると考える.そして空間上での距離が近いものは,何らかの意味的な近さをもつという前提のもとに,さまざまな類似度尺度が適用される.本稿では,テキストをめぐるさまざまな「共起」事象について述べ,これらを扱うための統計的手法や適用事例を紹介する.
著者
宮代 隆平 葛西 隆也
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.15-20, 2004-01-01
参考文献数
8
被引用文献数
2

最長片道切符とは, JRで買うことができる片道切符のうち, 経路の長さが最も長いもののことである. 最長片道切符のルートがどのようなものになるかは昔から議論があったが, 決定的な解答は得られていなかった. 筆者らは, 整数計画法を利用してこの問題に対する厳密な最長ルートを与えた. さらに,実際に最長片道切符を購入し, 最長ルートを鉄道で旅行した. 本稿では, 最長片道切符のルートを求めた手法の紹介, および「最長片道旅行記」をお届けする.
著者
荒川 一郎
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.366-372, 2003-05-01
参考文献数
6

医療経済情報の利用方法については,本邦の製薬企業として未だ模索の段階である.数ある選択肢の中で,現段階でもっとも可能性のある活用方法は,マーケティングプロモーションを目的とした個々の製品に関する情報の創生である.しかし,マテリアルの創生に当たっては,意思決定者に対していかに分かりやすく,シンプルにするかが今後の課題となっている.さらに,単なる製品のための情報創生だけではなく,システマティックに疾患を包括した疾病管理の立場から情報の創生が求められてきており,製薬企業も積極的に目を向けなければならないのではないかと考える.
著者
浅原 正幸
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.689-694, 2007-11-01
参考文献数
14

自然言語処理の分野は系列に対するラベル付与(系列ラベリング)問題として解かれるタスクが多くある.例えば,品詞ラベル付け問題は,入力を単語列とし,各単語に品詞を付与する系列ラベリング問題の1つである.このような背景から,教師あり学隙による系列ラベリング技術が多く提案されてきた.本稿では,自然言語処理の分野でどのように系列ラベリング技術が利用されているかを概観するとともに,近年考案された系列全体において最適化を行う構造マッピング法に基づく系列ラベリング手法を紹介する.
著者
安田 洋祐
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.19-24, 2010-01-01
参考文献数
11

電子マネー・ポイントカードの普及や,発行主体の企業戦略を理解するためには,利用者の囲い込み(Lock-In)が鍵となる.この囲い込み現象の分析に欠かせないのが,スイッチングコストという概念,およびゲーム理論の考え方だ.スイッチングコストの経済分析は,この20年ほどで研究が急速に進んだ比較的新しい分野である.本稿では,スイッチングコストの基礎モデルを紹介しながら,電子マネーやポイントカード市場における囲い込み現象について考察する.
著者
多湖 淳
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.215-220, 2011-04-01
参考文献数
18

国際政治学における計量分析の活用は我が国ではまだ限定的であるが,海外では非常に盛んである.学術誌を見ても計量手法の存在感は圧倒的である.この背景には,合理的選択論を軸とする戦争原因研究の理論的進展とそれに影響された他分野の理論研究に計量手法が大きな役割を果たしてきたことがある.ここでは国家間武力紛争,武力行使,同盟と有志連合という三つのトピックについて最近の研究を紹介し,それを通じて代表的なデータセット,分析単位,手法を明らかにしていく.
著者
湯田 聴夫
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.529-535, 2008-09-01
参考文献数
19
被引用文献数
1

ネットワーク構造からリンクが密な部分集合を抽出することを,複雑ネットワーク科学ではコミュニティ抽出と呼ぶ.密につながる集団は,同じ属性や傾向をもつ集団であることが多いため有用な情報となる.古くはグラフ理論や数理社会学から近年のWebサイエンスまで幅広くコミュニティ抽出手法として全体を俯瞰し,近年提案された高速なニューマン法とその派生法を概説する.オンライン上には既に数千万から億の単位でユーザがつながっており,集団間の情報流や効果的なマーケティング法の研究などORにおいてもコミュニティ抽出法は有効と考え,その可能性を解説し,今後を展望したい.
著者
松井 彰彦
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.576-582, 2011-10-01
参考文献数
9

本稿では,筑波大学の金子守氏と筆者が創始した帰納論的ゲーム理論の枠組みを紹介し,その応用を考察する.まず第1節でゲーム理論のメタレベルでのアプローチ法について3類型を示したうえで,第2節では,具体的な社会問題に入る前に帰納論的ゲーム理論のエッセンスを「協調ゲーム」を用いてみる.第3節は障害者等の隔離と烙印の問題に帰納論的ゲーム理論を用いて切りこむ.第4節はいわれのないいじめの問題への応用を考える.第5節は帰納論の起源としてプラトンと仏陀に触れる.
著者
鳥越 規央
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.11-16, 2012-01-01
参考文献数
9

メジャーリーグでは,セイバーメトリクスというプロ野球のデータ解析手法によって生み出された指標に基づいて選手を評価している.こうした動きは日本のプロ野球においても徐々に浸透している.近年はプロ野球データも1球ごとに細かく収集されているため,より精度の高い分析手法の開発も期待できる.本報告では,アウトカウント,塁状況別シチュエーションにおける得点差別の勝率確率の算出方法を解説する.これによりWPA(Win Probability Added)と呼ばれる,選手の貢献度を示す指標を用いて選手評価を行うことができる.さらには,ある打順が1試合当たりに得る平均得点の算出方法を紹介し,より多くの得点を得た打順にどのような傾向が見られるかを考察した.
著者
廣津 信義 上田 徹
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.761-767, 2009-12-01
参考文献数
10

本稿ではプロ野球の投手の評価を例としてDEAについて概説する.最も簡単な1入力1出力についてCCRモデルとBCCモデルの違いを説明した後,4入力2出力のBCCモデルを用いて投手の多角的な評価を行う.DEAを用いた分析の仕方を身近な野球の事例を通して紹介することで,DEAの有用性を直観していただければ幸いである.
著者
櫻庭 セルソ 智 柳浦 睦憲
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.327-334, 2012-06-01
参考文献数
38

線形順序付け問題は,正方行列の行と列を同じ順列で並べ替え,下三角部分の値の合計を最小化する問題であり,古くから研究されている.この問題は,辺に重みのついた有向グラフから一部の辺を取り除いてすべての有向閉路を除去するとき,取り除いた辺の重みの合計を最小化するフィードバック辺集合問題と等価である.本稿では,この問題に対するさまざまな解法を,実用的解法を中心に紹介する.
著者
三道 弘明
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.249-254, 2009-05-01
参考文献数
1

OR/MSの教育に携わっている研究者の多くは,理工系出身であることが多い.彼らが文系でOR/MS教育を担当する場合には,理系,文系の文化の違いなどにより,大きな戸惑いを見せることが少なくない.ここでは,理系,文系における教育の考え方や文化の違いについて概観し,学生の行動を単純な経済学的モデルで説明した.次いで導入科目として位置づけられたOR/MSに焦点を絞り,学生の行動を勘案した効果的な教育方法を,筆者の経験を中心に展開した.なおそこでの考え方は,経験に重点がおかれている関係上,かなり主観的ではあるが,何らかの参考になればと考えている.